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救命救急センター・腫瘍センター設立に向けて

救命救急センター・腫瘍センター設立に向けて

みやぎ県南中核病院 院長:内藤 広郎

 大震災後、お陰様で当院は大きな損壊もなく比較的早期に通常診療にもどることができました。今年8月には開院9年目を迎えるにあたって、今後の大きな目標として、当院が救命救急センターおよび腫瘍センターとして機能して行くことがあげられます。今回は、これまでの経緯と今後の予定についてご報告いたします。

 平成21年度、政府は経済危機対策として財政支出15兆円を伴う大規模な補正予算を成立させました。その中で、崩壊しつつある地域医療をたてなおすため、厚労省は総額2,350億円の対策費を組みました。この予算は、地域医療再生基金として各都道府県に配分されましたが、宮城県には計50億円が充当されました。そのうち、県全体にかかわる医療再生事業計画以外に地域医療整備の重点地区として県北と県南が指定され、これらの再生計画を全て総合して宮城県医療再生計画が策定されました(平成22年1月)。このうち、県南の医療整備には約18億円が計上されました。そのなかで、救急医療に関しては、平成25年度までに仙南地域の2次・3次救急医療整備のために当院を救命救急センター化すること、および公立刈田綜合病院の2次救急医療機能強化が盛り込まれました。

 一方、当院はすでに平成18年3月に「みやぎ県南中核病院将来構想計画」を策定しています。その中に重点項目が5項目ありますが、病院の診療機能にかかわる項目が2つあります。そのうちの1つが当院に救命救急センター機能を付加すること、もう1つが地域がん診療連携拠点病院(以下、がん拠点病院)として機能することです。さらに、これらの2項目は平成21年3月に策定された公立病院改革ガイドラインに基づく当院の改革プランの中にも明確な目標とされておりますので、これまでも救命救急センターのみならずがん拠点病院を目指して準備を進めて参りました。したがって、今回の地域医療再生計画に救命救急センター構想が盛り込まれたことはこれらの重点項目達成に向けて大きく前進したことになります。それに対してがん拠点病院構想は、わが国において世界に類を見ない高齢化社会が進展するなか、近い将来には全国的にがん患者数が大きく増加することがわかっておりますので、準備は進めて参りましたが、まだ具体的な将来像が見えていない状況にありました。がん治療の3本柱は薬物治療、外科的治療、放射線治療ですが、これからは欧米諸国同様に放射線治療の比重がどんどん増えていくことが予想されています。これらを反映して、がん拠点病院は放射線治療装置が稼働していることが必須条件となっています。しかし、残念ながら現在は仙南地域には放射線治療装置のある医療施設は存在しないため、このままではがん拠点病院が仙南地区に設置されないことになります。したがって、当院としては特にがん拠点病院機能整備のために地域の自治体病院としては全国的に見ても先進的と言えますが、早期から診療科として腫瘍内科を開設して専門性の高い抗がん剤治療や緩和医療を提供してきました。それらの歴史をふまえ、「仙南地域にがん拠点病院を」の合い言葉のもとに放射線治療装置、抗がん剤治療を行う専門の外来(外来化学療法室)およびがん終末期の医療を担当する緩和病棟の3つを備えた腫瘍センターを設置することが平成21年3月策定の改革プランに盛り込まれています。

 この度、大変ありがたいことですが救命救急センター設置は地域医療再生計画で予算が配分されました。一方、腫瘍センターについては予算確保の議論もなされておりませんでした。しかし、これらの2つのセンター設立は同じように増改築や人材確保を必要とするものでありますので、理想的には時期を合わせて開設を目指していくことが望まれます。そのため、この点について当保健医療組合の管理者会議において繰り返して議論をしていただき,平成22年8月には救命救急センター設立事業と時期を合わせて腫瘍センターの設立を目指すこと、および腫瘍センター部分の建設費は構成自治体である1市3町で負担することが合意されました。

 これらの医療再生計画の策定や構成市町の合意をうけて、当院が主導となり平成22年10月から平成23年2月まで、みやぎ県南中核病院救命救急センター設立準備委員会(委員長は東北大学医学部救急医学講座久志本茂樹教授)および同腫瘍センター設立準備委員会(委員長は当時の東北大学病院放射線治療科山田章吾教授)をそれぞれ3回、2回に渡って開催しました。地域の病院や診療所の医師代表、先行病院の代表、行政、住民の代表など関係する多くの方々にメンバーとなっていただき以下の様な基本方針が決まりました。

  1. 現在当院救急外来駐車場部分に新しく救命救急センターと腫瘍センターの機能中枢部分を有する診療棟を増築する。
  2. 正面駐車場の一部を緊急時のヘリポートとして使用できるように改修する。
  3. 職員駐車場の一部にこれらのセンター機能を維持するための職員確保の一環として院内保育所を新設する。
  4. 新しい診療棟の1階部分は北側に救急センター機能、南側に腫瘍センター機能を配置する。2階部分は腫瘍センター機能、管理部門機能とする。
  5. 救命救急センターは新しい診療棟に拡充して設置する救急外来とスタッフルームおよび現在の重症病棟のICUベッド増床などで構築する。これにともない、新しい救急外来に新たに診断用CTを導入する。
  6. 腫瘍センターは、1階部分に新規導入する放射線治療装置、外来化学療法室(14床)および2階部分の緩和病棟(12床)で構築する。
  7. 現在の救急外来部分は新しいMRI室、地域連携室、ロッカー室、ボランティア室、在宅救急歯科支援センター室などに改築転用する。
  8. 救命救急センター化にともない増加することが予想される緊急内視鏡検査、緊急超音波検査、急性期リハビリテーションのために内視鏡検査室、超音波検査室リハビリ室の拡充整備を行う。
  9. 医師はじめ医療スタッフの増員およびそれに伴う研修機能向上のため、医局を拡充し、研修関連のスペースを増加させる。それにともない、事務部門を分散移転し、そのために必要なスペースを確保する。

 以上の様なコンセプトに基づき、図に示したような基本設計ができておりますので、本年秋以降に建設,改修工事が始まり、救命救急センターは平成24年冬、腫瘍センターは平成25年春の開業を目指す予定です。従いまして、今後は増改築に関連する工事やさらには先の震災により破損した箇所の修繕工事などが始まりますので,病院を利用されるみなさまにはご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解とご協力をいただきますよう宜しくお願い申し上げます。

 なお、県南に対して配分された地域医療再生基金については、仙南地域における時間外1次救急診療システムの構築、病院間の診療情報共有システムの構築などの事業も含まれていますが震災の影響もあり具体的な協議が遅れております。今後、宮城県医療整備課の指導をいただきながら地域内での検討が進んでいくと思いますので、方向性が明らかになり次第、随時お知らせしていきたいと思います。少々、長くなりましたが、救命救急センターと腫瘍センター設立に向けての経緯と方向性についてご報告いたしました。

図1 図2 図3

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